2016年11月29日火曜日

わらしべ

わらしべ通信NO.46

1120日(日)街路樹の紅葉も見ごろとなりました。
今日は、顧問の沢田俊子先生のご出席もいただいての定例会です。
欠席者が多くあり、机を囲んだのは12名でしたが、合評に惜しみない力を注いでくださる、沢田先生のご指導に触れる貴重な時間でした。はっとしたり、うなずいたり、会員がお互いの顔を見ながら共有する空間が、心地よく感じられました。
 
 今日、とても盛り上がったのは「童詩」の合評です。二人の作品で、合計8編ありました。詩の合評は、不慣れなメンバーが多く、ああでもない、こうでもないと、色んな角度から想像力を働かせていると、小学生の時、詩について熱心な授業を受けたというメンバーから、とっておきの「秘策」なるものを伝授してもらい、一同がどよめく! という事態がありました。
「童詩」については、リズム感が大切で、匂いや質感、触感、色彩なども伝わると良い、また、読み手に制約がかからないような言葉の順序にすることも効果的だと、実作をもとに、まるでパズルのピースをあてがう様な学びができました。

当日速読の、1枚童話が2編。
秋の味覚を題材にした作品は、「それ」が作りたくなるような作品に、ぞくっとする怖い話は、「それ」の目線で次につながるような作品にすべく、それぞれの作者の切り口で温められることと思います。

短編が3編。
幼い子の成長を見守る家族の物語は、不要な部分や、不自然な個所を整理して、作者の温かいまなざしを徹底して伝える作品に。
奇想天外なエピソードが主になっている作品は、作者ならではの発想力でさらに膨らませると、とても楽しい作品に。
ある媒体に掲載予定の作品は、ややこしさをとりのぞいて、さらに意外性をプラスして、面白い結末に。
どれも、読後感の期待できる作品になりそうでワクワクしました。

来月は、児童文学作家の野村一秋氏をお招きしての勉強会なので、皆がそろって参加できることを楽しみにしています。    (担当: 藤谷クミコ)



※会員トピックス※
●山下みゆきさん 第9回絵本テキスト大賞Aグレード
 優秀作「なんでもきんしのやま」



●井上林子さん「わらしべ通信NO.45」で紹介した一巻目に続きシリーズ続刊 出版
11歳のバースデー わたしの空色プール810 夏木アンナ』
11歳のバースデー おれのバトル・デイズ107日伊地知一秋』

(くもん出版)
















2016年11月25日金曜日

とんとんぼっこ

11月12日に行われた童話塾in関西に、とんとんぼっこから5名で参加してきました。
それぞれ参加した分科会が違います。長くなりますが、参加したメンバーの声を、とんとんぼっこへの報告メールから抜粋します。

●分科会A【お話の種の見つけ方&育て方】フィールドワーク
「お話のたねをみつけよう」って事で京都の街中や賀茂川べりを15人ほどで散策し、途中で沢田先生がコーヒーを皆さんにご馳走して下さったりで楽しく過ごしました。
天性寺に戻って、散策の中に発見した事を原稿用紙に書くわけですが……
まぁ色々あって時間不足で、印象に残った事の発表と、残り10分で何かしらシーンを描くといった事を経験しました。
沢田先生と井上林子先生の生き生きとしたお話をきいていると、何を見てもお話になるんだなぁと感じます。
でも、いざ書くとなると完全にフリーズする私でした。
沢田先生は、とにかく公募に出すように、とおっしゃいました。「書いて、書いて、書きためて合致する公募に出す。来年は、となりの部屋(合評の分科会)に行ってね」とも。
秋の京都散策はとても楽しかったのですが、100人以上のパワフルなエネルギーに触れて、ギアを入れ直さなくてはと感じました。(岡本)

●分科会A【お話の種の見つけ方&育て方】フィールドワーク
京都散策をしておはなしのタネをみつける、に参加しました。
この日の京都は暖かく、まさに散策日和。
紅葉も5分方色づいて、勉強していることを忘れそうなほど秋の京都を満喫しました。(^^♪
 天性寺に戻って、何かを書くわけですが、そんなに簡単に書けないわけです。
メモしたタネを見ても、すぐにはおはなしなど浮かんでこない。
ようやく「1シーンでいいから」と言われて、書き始めたものの書いたり消したりで原稿用紙はぐっちゃぐちゃ……。
井上林子先生が、そのへんの空気から取り出すように、タネをおはなしにしていくのを目の当たりにして
「すごいなあ、遠いなあ」と、妙な敗北感を覚えて終了しました。
 岡本さんも書かれていた通り沢田、井上、両先生から、いろいろアドバイスをいただきました。
その中で一番心に残っているのが
 「下手でいいから、面白いものを書いて!」
 と、言われたことです。
下手なままじゃ書けないのでは……?
一見矛盾しているようですが、初心者のわたしたちは文章が下手。
中には、まだ何も書いたことがないという方もいました。
文章は、書いているうちにだんだんうまくなってくるそうです。
上手な文章を書くよりも、面白いおはなしを書く方が難しいのかもしれません。(梶)

●分科会B【幼年童話】合評
15作品を4時間で合評しました。
竹内もと代先生のきびしくもあたたかな的を得た講評が続きました。
私は「やかましいさかな」を書き直して提出していました。
盛り過ぎといわれてしまいました。
たくさんの書く人に出会い、まだまだ余韻が残っています。
童話塾のエネルギーでまた1年がんばれそうです。
結論は、とにかく書く。(西谷)

●分科会C【読み物】合評。
分科会C 読み物 は、50枚程度の作品の合評でした。
 はじめに講師の光丘真理先生のミニ講座があり、読んでみたいと思わせ、先を読みたくなる、読者の心をつかむ作品を目指すために大切なことについて教えていただきました。
 合評作品は、圧倒されるものばかりでした。
何度かお会いしたり作品を読ませていただいたことのある方が半数おられ、すごい完成度に、みなさん精進されているなあと痛感し、最近の自分を反省しました。
 ふだんグループで合評をつづけていると、慣れが出てくる部分があるので、はじめて読んでくださる方や、いつもとは違う顔ぶれの合評は刺激になります。
そして、先生の講評では、どのようにしたら出版されるものになるかという目線で、どう書き直していかなくてはならないかをクリアにしていただき、さらには、ひとりずつに参考となる御著書を頂戴し、感激でした。
ただ、自分の書きたいものというだけでなく出版される物語にするという視点を意識できたと思います。
後半には出版社の方も同席され、出版したい作品かどうかという厳しいご指摘も普段聞けないためになるものでした。
わたしも、目標をたててがんばります!(さとう)

●分科会D【子どもの本ができるまで】ワークショップ
まず、大塚篤子先生、西村友里さんによる「この本ができるまで」と題した講演を、贅沢にも各1時間ずつたっぷり聞かせていただきました。大塚先生はヒマラヤに何度も行かれていて、そのときの経験から『ともだちは、サティ』等を書かれています。11歳の少年がひとりで牛をつれて放牧の旅に出るお話ですが、実際には8歳からだそうです。8歳だと日本では受け入れられ難いので、11歳まで年齢を引き上げて書かれたそうで、よその国のことを知ってほしいという願いがこめられています。
講演のあと、風野潮さん、宮下恵茉さんから「キャラクターシートとプロット(企画書)を実際に書いてみよう!」というワークショップがありました。長編を書いている最中に登場人物の個性がぶれないために、これは必要だなと思いました。大塚先生、西本友里さんもそれぞれテーブルについて、アドバイスくださいました。
童話塾終了後は、会場をレストランに移して懇親会。初参加のメンバーは持参した名刺が大いに役立ったのではないでしょうか。同じようにがんばって書いているみなさんと、たくさんつながりできたようです。
ビールも入り、テーブルのだれより率先して食べていたところ、いきなりスピーチのおよびがかかり(くじ引きで)、今年もサザエさんの「うんがこっこ」状態のままスピーチをするはめになったわたくしでした。(巣山)

☆ ☆ ☆

帰りの列車の中で、初参加のメンバーの目が輝いていたこと。車中ずっと、創作について熱く語り合いました。
沢田俊子先生をはじめ童話塾スタッフの皆さまには、感謝ばかりです。今回も書こうという気持ちを一同、大きく膨らませていただきました。本当にありがとうございました。
                         (巣山ひろみ)



だんでらいおん



1119日は、朝から雨。外は冷たい空気に包まれていました。
合評会が行われる協会事務局の扉を開けると、部屋の中はすでにピリピリムード、ならぬ、ほんわかムード。和やかな雰囲気に包まれていました。
参加者は、会員6名、見学者3名(内2名は音森さんのお子ちゃま)です。
しかし、いざ合評会がはじまると、熱い批評の応酬となりました。

「対象年齢にこの言葉は難しすぎるのではないか」(ジャブ)
「御意!」(汗)
「この話のこの部分は矛盾しているのではないか」(フック)
「御意!」(汗)
「ここの部分だけど、もう少し変えたほうがいいのではないか」(ストレート!)
「ぎょいーっ!」(鼻血)

だんでらいおんも発足して、もう3年近くになるそうです。
発足当初は、お互いの腹の探り合い。言いたいことも控えめで、遠慮がちだったり、相手の様子をうかがったりしていたような気がします。しかし、お互いの気心が知れ、馴染んでしまった今は、思ったことを言い合える、向上心にあふれたサークルになったように思います。

では、最近の会員の成果報告です。
「母の友11月号」(福音館書店)に、真山みな子さんと音森ぽこさんの作品が。
「あなたのとなりにある不思議」(日本児童文学者協会とポプラ社の共同企画)に、よねむらけいこさんの作品が。
「児童文芸10月号」に、わたなべちとせさんのイラストとifのコーナーにエッセイが、それぞれ掲載されています。

ということで、単行本の出版をめざし、これからますますお互いを刺激し合える関係になりたいと思っております。

――さて、合評会が終わった後は、暮れなずむ飯田橋に飛び出して一足早い忘年会。居酒屋でも、今日の合評会について、作品について、夢の出版記念パーティーについて、熱い熱い語り合いが続いたのでした。
                               (嘉瀬陽介)